我々の居住する小山田桜台団地は都市計画法に基づく「一団地の住宅施設」により建設された団地です。「一団地の住宅施設」として建設するためには、我々に直接関与する建物の建築面積、造作、高さ、形状、方向、位置、仕様から、駐輪場、公園、給水設備、管理事務所、駐車場、防火用水、道路、通路にいたるまで詳細に決定され、また学校、幼稚園、保育園、商店街、銀行、郵便局、バス停なども同様に決定されています。このような詳細な計画案の元に、団地全体が建設されました。
以上の様な詳細な事柄を決定し実際に施工された団地の一つが小山田桜台団地です。この細々とした事項の変更は、集合住宅部分では基本的に不可能と考える事が都市計画法の「一団地の住宅施設」と向き合う上で必要です。しかし現実に駐車場の増設が見られます、これは都市計画法にある「軽微な変更」を引用しています。この事は都市計画法が、現状に合わなくなっている事を現す事例です、明らかに法律の拡大解釈であり、「一団地の住宅施設」の基では、何も変更出来ません。
<都市計画としての住宅施設>
都市計画とは、大正8年制定の旧都市計画法からある制度で、単に住宅を供給するだけでなく、付帯施設を含め良好な居住環境を有する住宅地の供給と、将来にわたりその保全がなされるように都市計画として位置づけ整備をしようとするものであります。特に戦後の住宅難解消のため住宅建設促進が急務であった事と、その後の高度経済成長期の首都圏への人口集中による住宅不足を補うために、旧住宅都市整備公団等による住宅団地建設にこの制度が利用されました。
<意義>
この制度は、都市計画法第11条に規定する「都市施設」として位置づけられ、「都市施設」とは道路、公園、下水道等都市の骨格の形成により、円滑な都市活動を確保し、良好な都市環境を保持するための施設であり、土地利用、交通などの現状、将来の見通しを勘案して、適切な規模で必要な位置に配置を行うために定められた制度です。
<問題の根本>
何故、問題が発生し我々が議論をする必要性があるのか、この制度は国として良質な賃貸住宅の供給を行っていく事を、前提に造られ施行された制度です。その制度を諸般の事情から分譲住宅の供給に適用した事が、現在制度上の運営に難しい問題を、発生させている根本原因です。そのため我々が検討しなければならない事柄は、法律上想定外の事例を検討する事になり、当然、前例がないのです、此処に前例のない事例を行政と行動を同じくする事の難しさが内包されています。
制度の変更をする事は法律の変更を意味し住民単独では解決出来ません。行政との行動を同じくする「協動」が必要不可欠なのです。国もこの制度の見直しに着手し現場である地方行政機関に対しても制度の見直しを示唆しています。しかし、行政機関は法律を法律通りに行うための組織であり、立法する組織ではありません。立法府としての議会が問題の解決をするべきですが、現実には多種多様な住民の要望の中から、この問題を住民総意として捉え、さらに細部まで詰め法案として提出する事は期待出来ません。
「協動」この聞き慣れない言葉は実情に合わなくなった制度を、運用せざるを得ない立場の行政が生み出した一つの答えであり「知恵」です、単に行政を批判するのではなく、その「知恵」に便乗する事で我々の現在の良質な住環境を将来にわたり担保する事を目的として「小山田桜台まちづくり協議会」は発足し活動をしてきました。協議会としては「協働」の意味を、下記のように認識しています。
********協働とは、住民が持つ要望を住民の直接の意思と行動により具現化する活
********動に対し、行政は、意思と行動を尊重し、その具現化に共に協力する行為。
本来、団地全体の計画から決定された設計図の一部を、別の事情で変更する事は、良い結果を得られるとは思えません。駐車場問題のように都市計画法に基づく「一団地の住宅施設」では現状に合わなくなっている部分も有ります。それでは全部駄目なのかと言えば、そうではないのです。何も出来ないと言うことは、団地の中に異質な物を作らせなかった事も事実なのです。
検討する順序として全体の問題から考え骨格を作る事が大変重要だと考えました。末梢の事案を検討する事から進める事が問題に入り易いのは確かです、しかし、逆に結論の取り纏めを遅らせる事になると考え全体のフレームを確定するための検討を重ねてきました。
本年度に、全体フレームの提示は「小山田桜台地区 街づくりプラン案(方針)」により提案できました。これからは、法律との兼ね合いを含め、我々の住環境を保全し、より良くするために、プランニングから実際の権利関係に踏み込んだ議論による検討と調整が必要になります。まさに前例のない事柄に挑戦する訳ですが、5年以上に渡る議論と検討により線路にレールは牽かれました。行き先を決めるのは我々住民です、実りある会の運営に運営委員の方々の力が発揮される事を期待し、挨拶といたします。
平成20年4月1日
小山田桜台まちづくり協議会
会長 佐藤 巌